読書メモ『芸術的創造は脳のどこから産まれるか?』著:大黒達也
はじめに
こんにちはフクロウのものさしです。
大黒さんの『芸術的創造は脳のどこから産まれるか?』を読みましたので読書メモです。
この読書メモには私が読んでいて気になった箇所、本文の引用部分、私の個人的な要約も含まれます。したがって本書を批評・解説するものではありませんので、予めご了承ください。
読もうか迷っている方の一助になれば幸いです。
第1章
3音楽する脳
即興演奏と楽譜通りに演奏するときは脳の活動が違う
即興演奏では感情を芸術を用いて表現に落とし込む部分が活動している
5クリエイティブな脳
・目標や計画がなく自由で創造的な即興演奏では、脳はリラックスした状態が強くなる
・創造的な人はアイディアの発案だけでなく評価も同時に行っており、より多くの「価値あるもの」を瞬時に生み出すことができる
第2章
4記憶と自我
・芸術的思考とは新しいもの(不確実、不安定なもの)をモデル化(理解)しようと言う欲求と、新しいものを求めることのせめぎ合い。
5記憶と睡眠
・睡眠は脳を休めるだけでなく、学習した内容を復習し、記憶を定着するために重要な時間
・睡眠は創造的な手法や答えを見つけるための重要な時間
EX.いちど睡眠を取った次の日の朝に突然答えが降ってくるといった経験
・睡眠中に行われる、情報選別、記憶の定着、情報の圧縮などを通して創造的な思考が高まる
コラム3
・睡眠不足が知識獲得の最大の敵
・寝ないで勉強するぐらいならしっかり寝て、学習した短期記憶を長期記憶貯蔵庫へ送り込むことが大切
第3章
1創造性とは何か?
「創造性が生まれる4段階」
1準備期:問題設定とその解決策お解決策の立案
2あたため期:問題から一度離れる(潜在的に考えている)
3ひらめき期:新たな発送・解決策が舞い降りる(アハ体験)
4検証期:答えの精査、絞り込み
準備期
・準備期では最初に達成するべき目標や解決すべき問題を設定する必要がある
・様々な知識を駆使し集め、論理的に解決しようと努力する
あたため期
・あたため期では諦めかけたような状態で問題から意識的に離れる
・脳内では潜在的に思考が熟しつつあり、解決策が自然に出てくるのを無意識的に待っている期間
ひらめき期
・ひらめき期で創造的発想が生まれる
・あたため期で問題から離れ、意識上では解決に向けて取り組んでいなかったのに、創造的な解決策が降ってきたような感覚
検証期
・検証期ではひらめいた解決策が実際に正しいかどうかを確認する
・正確な検証を行うためには準備期で問題解決に向けて様々な仕事をめぐらしたほうがよい
2拡散的思考VS収束的思考
・創造性を生み出しやすいタイプの思考(拡散的思考)と、そうでない思考(収束的思考)がある
拡散的思考
・拡散的思考は新しい発想を自由に広げ、新たなものを見出していくタイプの思考
・拡散的思考力を高めるために重要な3つの要素「1流暢性、2柔軟性、3非凡性」
・短期間にたくさんの案を創出し(流暢性)、1つの概念にこだわらず広い視点から問題をとらえることができ(柔軟性)、オリジナリティーあふれる案(非凡性)であること
収束的思考
・収束的思考は特定の問題を解決するのに最適なタイプの思考
・論理的思考によって1つの最適な解に正しく、かつ早く到達することができる
・創造性が生まれる4段階を通して、「収束的思考〜拡散的思考〜収束的思考」と2つのタイプの思考が連鎖する
3内発性VS外発性
・内発的意欲とは、心の中から湧き出るような喜び報酬、楽しさや知的好奇心を満たすための意欲
・外発的意欲とは、金銭的報酬や他者からの賞賛、外部からの報酬を目当てに頑張る意欲
・両者の意欲や報酬をうまく相互左右させることが問題解決に向けたパフォーマンスを上げていく
・今自分がどちらの意欲で問題に取り組んでいるかを自己認識することが重要
・単純すぎず難しすぎない中間の複雑性(不確実性)を持った音楽を人は最も好む
・人の創造性には既存の知識の枠の中に表現を収めようとする表現意欲(収束的思考)と、既存の知識から逸脱しようとする表現意欲(拡散的思考)の2つの力が引き合い満たさせた時に芸術に感動する
5ワォ!効果
・新しいことに取り組むならまずは基礎を固める事で低負荷になり、負荷のかかる新しい創造的な情報を学習しようと言う意欲が生まれる
・基本的な情報をしっかりと学習し、情報の塊を圧縮してデータ処理効率を上げることで、創造的思考も豊かになる
6創造的思考に知能は必要か?
・知能と創造性は独立したものではなく、直感的・偶発的な案(創造性)を論理的な案に落とし込む(知性)必要がある
・知能が高いと創造性も高くなるわけではない、アイディアの発案(創造性)と評価(知能)を同時にうまく使いこなせる人間こそ、創造的発想力の高い人
8ジャズの即興演奏の創造性
・芸術普遍性を基盤に「個性」をいかに出すか、これが人間らしい創造性の発生メカニズム
第4章
1暇な時間
・一旦問題から離れることで解決が促進される効果を「孵化効果」と呼ぶ
・必死に考える→一旦休む→急に何か思いつく、と言うプロセスを意識して行う
・暇な時間を取ることがクリエイティブな思考をやすくなる(EX.散歩)
・創造的思考は意図的に創造しようとしている時よりぼんやりしている時に熟すので、「ぼんやり(マインドワンダリング)」する時間を意識的に取ることが重要
3クリエイティブな人の傾向
・クリエイティブな人は新しいことに対して寛容であまり自己否定をしない
4芸術的才能・創造的思考を育成する
・自分の思考をモニターしたり、コントロールしたりする習慣を身に付けることで、創造力は増大する
思考の自己観察以外の創造性を高める訓練法の例
・ブレインストーミング法、KJ法、MN法
第5章
4成人の教育
・創造力を生み出すために固定概念(機能的固着)を意識的に解放する、子供は最高のパートナー
・特定の人の言葉を無批判に受け入れる行為は意思決定力が皆無、自分の頭で出した意見なのか、自分の思考を監視する習慣をつける
・外国に移住すると多くの文化に触れるので新しい情報を受け入れる力が身に付き、創造力が高まる
第6章
1潜在記憶の活用
・外国語を学ぶ最適な手法は、スポーツのように経験と練習を繰り返しながら感覚的に学んでいく
・日常会話レベルの語学力なら何度もアウトプットを繰り返して潜在学習をしていくことが大切
・母国語を介さない思考ルートが大切(○英語→英語、×英語→母国語→英語)
第7章
2芸術的才能の発掘と育成
・人は理解できたものには知的な喜びを望めない
・芸術的普遍性を基盤に置いた上で個性をいかに出すかが、人間らしい創造性の発生メカニズム
コラム10
・先入観が人を天才にし、天才とされた本人も自分が天才だと錯覚することでモチベーションが高まり、結果的に斬新で素晴らしい芸術作品を生み出すこともある
最後までお読み頂きありがとうございました。
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